近藤 啓史 医師

[勤務病院]
独立行政法人国立病院機構
北海道がんセンター 副院長

〒003-0804
札幌市白石区菊水4-2
TEL/011-811-9111

URL/http://www.sap-cc.org/


繊細で精度の高い顕微鏡的手術が可能

photo1 体の中に酸素を取り入れ二酸化炭素を排出する肺は、呼吸を司る重要な臓器。心臓、気管、食道などからなる縦隔(じゅうかく)を挟んで左右に2つあり、右肺は上葉、中葉、下葉の3つ、やや小さな左肺は上葉と下葉にわかれている。中には大小の気管支が枝のように広がっている。
 肺がんは気管、気管支、肺胞の細胞が正常の機能を失い、無秩序に増えることで発生する。なぜがん化するのかは十分にわかっていないが、周囲の組織や気管を破壊して増殖しながら他の臓器に広がり、多くの場合は腫瘤を形成する。
 小細胞がんと非小細胞がんの大きく2つに分けられ、さらに非小細胞がんは腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、腺扁平上皮がんなどの組織型に分類。日本で最も発生頻度が高いのが腺がんで、男性の肺がんの40%、女性の肺がんの70%を占めている。肺野型と呼ばれる肺の末梢に発生するのがほとんどで、通常の胸部レントゲン写真でも発見されやすい。また小細胞がんは増殖が速く、脳・リンパ節・肝臓・副腎・骨などに転移しやすい悪性度の高いがん。しかし非小細胞がんと異なり、抗がん剤や放射線治療が比較的効きやすいとされている。

9割以上が社会復帰の早い胸腔鏡手術

 肺がんの治療法には、抗がん剤投与や放射線治療もあるが、葉の切除や病巣だけを部分的に切り取る外科手術もおこなわれる。胸の側面を切り開き、あばら骨の間を広げておこなう開胸手術と、小さな穴を開け胸腔鏡などの器具を入れておこなう胸腔鏡手術が一般的だ。
 北海道がんセンターでは1992年に呼吸器外科を開設し、全国に先駆け「安全確実な胸腔鏡手術」を開拓。厚生省がん研究班に加わり、手術手技の向上、手術器具の開発・改良などに携わってきた。難しいとされてきた肺門縦隔リンパ節郭清も確立し、年間百数十例実施している肺がんの手術の9割を胸腔鏡手術でおこなっている。

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 その呼吸器外科の陣頭指揮を執り、今までに1600例以上の胸腔鏡手術をおこなっている近藤啓史医師は、その利点を「手術時の出血が非常に少なく、開胸手術よりも早く社会復帰できる」と話す。30~40センチ胸を切る開胸手術に比べ、胸腔鏡では大きくても4センチ程度の傷が数カ所。手術後の痛みも少なく、退院も2~3週間かかる開腹手術に比べ、6~7日後にはできるという。

40歳を過ぎたら胸部CT健診を

 同センターでは通常、病巣がある方の胸の側面に小さな穴を3カ所開ける。組織を縫いながら切断できる自動縫合器や手縫いのための器具を入れ、血管を縛って出血をできるだけ防止した後、胸腔鏡や電気メス、ピンセットなどで病巣を切り、穴から摘出する。手術時間は数時間で、開胸手術と同じくらいだ。
「肺がんの手術には標準化された方法はなく、医師の数だけやり方がある。血管を傷つけると多量の出血を起こすなど危険が伴うため高度な技術が不可欠だが、モニターで手術部位を20~30倍に拡大できるので、繊細で精度の高い顕微鏡的な手術が可能」と近藤医師は自信を見せる。
 しかし罹患数と死亡数に大きな差はなく、生存率が低いのも肺がんの大きな特徴だ。それは自覚症状が出たときには進行しているケースが多く、手術に至らない割合が約7割にも上っているためだ。近藤医師は、「40歳を過ぎたら年に1度はCT健診をおこなうべき」と警鐘を鳴らしている。

(2012/03/15)

ドクターの略歴、活動内容

近藤啓史(こんどう けいし)/1953年生 

プロフィル

1980年
旭川医科大学医学部卒業
同年
旭川医科大学第二外科(消化器外科)入局
1981年
国立療養所道北病院 外科医師
1982年
旭川医科大学 手術部助手
1990年
旭川医科大学 第二外科助手
1992年
国立札幌病院・北海道地方がんセンター外科医師
1998年
北海道がんセンター 呼吸器外科医長
2007年
北海道がんセンター 診療部長
2008年
北海道がんセンター 副院長

所属学会・資格

日本外科学会専門医、指導医
日本呼吸器外科学会
日本内視鏡外科学会
日本肺癌学会
日本気胸嚢胞学会評議委員
医学博士
北海道大学客員准教授