藤井 美穂 医師

[勤務病院]
社会医療法人社団 カレスサッポロ
時計台記念病院
女性総合診療センター センター長

〒060-0031
札幌市中央区北1条東1丁目
TEL/011-251-1221

URL/http://www.tokeidaihosp.or.jp/


北海道にTVM手術を導入した第一人者

 女性の骨盤内には子宮や膀胱、直腸などが収まっているが、「骨盤臓器脱」いわゆるPOP(Pelvic Organ Prolapse)はそれらの臓器の位置が下がって腟の中に落ち込み、外に飛び出してくる病気だ。高齢化社会の進展もあり女性なら誰もがかかる可能性がある。臓器によって「子宮脱」「膀胱瘤」「直腸瘤」などと呼ぶ。骨盤の底には骨盤底筋群という筋肉がハンモック状に張られていて、骨盤内の臓器を支え、また蓄尿や排尿・排便に重要な役割を果たしている。しかし出産や加齢、肥満、さらに更年期以降に女性ホルモンが減少することで筋肉がさらに弱くなる。これが骨盤臓器脱の主な原因だ。出産経験回数が多い、難産を経験した、また慢性的な便秘症状を持つ、喘息を患っている女性に多く見られる。
 軽度のものを含めると出産を経験した女性の半数程度に骨盤臓器脱の症状が見られたという報告がある。しかしこの病気の厄介なことは、社会的な認知度が極めて低いこと。また直接命に関わることはなく、違和感を感じている程度の人は放置しがちになることだ。しかし「下垂感があるだけではなく排尿・排泄障害を伴ったり、外出を控えるなど患者のQOL(生活の質)が著しく損なわれているケースがほとんど。羞恥心から誰にも相談できずに一人で悩んでいる方が非常に多い」と藤井美穂センター長。
 藤井センター長は産婦人科が専門。2005年にフランスからこの骨盤臓器脱に対するTVM(Tension-free Vaginal Mesh)手術を導入した大阪の竹山政美医師から直接手技を学び、2006年に北海道に導入した第一人者だ。

約5年間で800症例の実績

 骨盤臓器脱には産後から骨盤体操などをおこなうことや、排尿・排便コントロール、重いものを持たないといったことが予防につながる。しかし症状が重くなった場合は手術が必要になる。「従来までおこなわれてきた手術は部分修復手術を組み合わせたもので、例えば子宮脱のケースでは子宮を摘出し、余剰の膣壁を切り取るといったものです。摘出の必要のない子宮を切除する手術は多くの女性に受け入れられないものであり、しかも30~70%の再発報告もありました」(藤井センター長)。

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子宮脱のMRI所見
左が正常な状態。右は子宮が下垂し脱出してしまっている。

 この部分修復では再発の可能性が高いことから、骨盤底を一括して修復する全体修復という考えが浮上する。そしてフランスの産婦人科医9人のグループが考案したのがメッシュを用いて骨盤底を再建するTVM手術。2005年に日本に導入されてから2009年までに約1万例の手術(メーカー調べ)がおこなわれている。しかし道内にはTVM手術をおこなう医療機関が少なく、当院には道内外から多くの患者が訪れてる。同院女性総合診療センターでは、開設した2007年4月から現在まで約800症例の実績。また、さらに最近では腹腔鏡内で下がった臓器をつり上げる内視鏡による手術(仙骨固定術)も増えてきている。

TVM手術体験者の術後のケアも万全

 同院女性総合診療センターでは、産婦人科、乳がん検診、女性内科、心療内科を女性医師が中心となって診療をおこなっている。骨盤臓器脱のほか、子宮筋腫や卵巣腫瘍に対する腹腔鏡下手術、膣式手術、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんに対するリンパ節廓清を含む開腹手術などを実施。また、骨盤底筋体操や健美操教室なども実施している。「2010年10月には当院で手術された患者が中心となり、『ウロギネ女性の会』という患者会が設立され、TVM手術の体験者として患者のケア活動にも取り組んでいます」(藤井センター長)。

(2012/03/15)

ドクターの略歴、活動内容

藤井美穂(ふじい みほ)/1953年生 

プロフィル

1981年
札幌医科大学医学部 卒業
同年4月
札幌医科大学附属病院 産婦人科勤務
1982年
札幌医科大学医学部大学院医学研究科 入学
1985年
大阪大学医学部第三内科留学
1986年
札幌医科大学医学部大学院医学研究科 修了
1986年
留萌市立病院産婦人科 医長
1988年
札幌医科大学附属病院産婦人科勤務
1991年
道立江差病院産婦人科 医長
1992年
札幌医科大学附属病院 産婦人科勤務
同年
北海道立衛生学院 兼任助手
1993年
札幌医科大学医学部 助手
1998年
札幌医科大学医学部 講師
2001年
UCLA Depart. OB/GY留学
2005年
カレスアライアンス天使病院婦人科科長
札幌医科大学医学部臨床教授
2007年
カレスサッポロ時計台記念病院女性総合診療センター長

資格

・医学博士
・日本産婦人科学会 認定医
・日本臨床細胞学会 専門医
・日本医師会認定産業医  

所属学会

・日本産婦人科学会
・日本生殖医学会
・日本臨床細胞学会