加藤 秀則 医師

[勤務病院]
独立行政法人国立病院機構
北海道がんセンター 統括診療部長

〒003-0804
札幌市白石区菊水4-2
TEL/011-811-9111

URL/http://www.sap-cc.org/


多彩な治療法で
子宮頸がんを根治治療

photo1 婦人科のがんでもっとも一般的な子宮がんは、子宮の入り口にできる子宮頸がんと子宮の内側にある子宮内膜から発生する子宮体がん(子宮内膜がん)に分けることができる。全国がん罹患モニタリング集計によると2006年度で子宮頸がんを発症しているのは約8,900人、子宮体がんは約8,600人。また、子宮頸がんで年間約2,500人、子宮体がんで年間約1,700人の人が亡くなっている。
 年齢別にみた子宮頸がんの罹患率は、20歳代後半から40歳前後まで増加したあと横ばいになり、70歳代後半以降に再び増加。近年は罹患率、死亡率ともに若年層で増加傾向にある。
 子宮頸がんのほとんどがHPVウイルスの感染による。HPVは現在150種類程度発見され、その中の約15種類ががん化に関係する。約80%の女性が一生に一度はHPVに感染するとされ、知らないうちにほとんどのケースが自然に治癒する。しかし、発がん性のHPVが持続的に感染した場合、感染したウイルスががん化するのだ。
 子宮頸がんは子宮入り口の頸部の表面に発生し、表面下に深く浸潤していく。初期の子宮頸がんでは初期症状はほとんどないため、検診での発見が不可欠。同院では6年前からレーザー治療を導入し、表面のがんを蒸発させる治療を取り入れている。

初期の子宮頸がんはレーザー治療で9割以上治る。

 残りの1割も、従来型の円錐形に切り取る円錐切除とレーザーとの併用で99%が治癒している」と自信を見せる。しかし、「だからこそ早期発見が重要で、がん検診がポイントになるんです」と呼びかけている
 ただ、初期で発見できなかった場合、がんは他の臓器に浸潤。直腸や膀胱に広がると直腸に穴が開き、膣から尿や便が出てしまうケースもある。また、子宮頸部には多数の小血管やリンパ管が網の目のように張り巡らされているため、こうした血管やリンパ管にがんが入りこんで体の別の部位に転移することもある。そのため従来ではリンパ節郭清によって40~50のリンパ節が摘出されていた。

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 しかし加藤医師は、がんが最初に転移するセンチネルリンパ節を術中に調べ、転移がなければそれ以上を摘出しないセンチネルリンパ節生検を実施。そのため、子宮頸がんの患者が術後に悩まされてきた浮腫や炎症を防ぐことに成功している。このほか広汎子宮全摘手術の場合、従来は排尿障害が出るケースが多かったが、排尿神経を傷つけない手術も実施している。

子宮頸がんの手術数は道内トップクラス

 また若い女性が多いということもあり、多くの女性が願う「将来、子どもを産みたい」という希望をなくさないことにも力を注ぐ。がんを切除した後、子宮の本体と膣をつなぎ直すことで、妊娠機能を温存。術後、実際に赤ちゃんを産んだ人もいるという。photo2 さらに、開腹せずに腹に入れた細い管にカメラなどを入れておこなう腹腔鏡下子宮がん根治手術にも先進医療として積極的に取り入れ、傷口が少なく済むため、術後の回復も早い。
 「がん治療は、他科やチームによる連携が重要。当センターは、放射線科、脚部・消化器外科、消化器内科、泌尿器科などすべて道内第一線級のがん治療科。また疼痛緩和ケアチーム、医療安全室、感染対策室などの部門も充実している点が大きい」と加藤医師は言う。
 ちなみに加藤医師は、過去10年間の子宮頸がんの手術数は2001例。年間では139例を実施。ともに道内トップクラスを誇る。

(2012/03/15)

ドクターの略歴、活動内容

加藤秀則(かとう ひでのり)/1958年生 

プロフィル

1976年
札幌南高校、83年北海道大学医学部卒業
1989年
北海道大学大学院修了
九州大学生体防御医学研究所生殖内分泌婦人科助手
1993年
~1995年
米国ノースカロライナ大学がん総合研究所に留学
 
1995年
九州大学講師
1998年
九州大学病院別府先進医療センター産婦人科副科長
2005年
現センター医長
2008年
現センター統括診療部長
2010年
北海道大学客員教授

所属学会・資格

日本産婦人科学会(代議員・専門医)
日本婦人科腫瘍学会(理事・指導医)
日本癌学会
アメリカ癌学会
日本癌治療学会
国際婦人科癌学会
日本産科婦人科内視鏡学会
日本医師会認定産業医
がん治療専門医、医学博士